
アニメの実写化、というと、好意的に受け入れられることって、少ないのが常ですよね。
実写化の出来が酷い、というのは、どんな作品でも本当によく聞かれる感想です。
漫画の段階で人気を博した作品、「映像研には手を出すな」が、この春アニメ化、また時を同じくして、誰もが知っている国民的アイドルグループをキャストに、4月に実写化!
さて、どんな出来映えとなったのでしょうか。
大好きな漫画が映像化!がっかり経験ない人なんて、いる?
小説でも漫画でも同じですが、最初に出るのは本です。
そこに登場する絵や文字から、人は好きなように世界観を膨らませます。
小説なら、そのキャラクターの顔や背格好。
漫画からなら、その子の動き、声。
読み物というのは、読む側に想像力という余白が残されていて、頭の中で作り上げた音付きの音声も総合して作品の評価、ということになるでしょう。
だから、頭の中のは、そのまま作品へのがっかり具合、ということになってしまうわけですね。
大好きな作品が映像化する!という時、まず原作ファンの一視聴者として心配になるのはどんな点でしょう。
声がキャラクターと合っているかどうか。
自分の中のイメージとはかけ離れた声でがっかりした経験、誰でも一度や二度はありますよね。
こういった場合、たいていの人が同じ感想を持つ傾向があります。
そのキャラクターへの自分だけのイメージがあって、他の人には受け入れられるけど、自分だけが違和感を持つ…、ということはあまりなく、自分が違和感を覚えた場合、まわりの原作ファンも同じ感想を持ちます。
これは、読み込んだ人には伝わる、原作者の意図したイメージがあるということなのでしょう。
また実写化の場合、自分のイメージしていた人物像と、キャスティングされた役者さんの雰囲気が、一緒かどうか。
あの、優等生で美人で、誰からも好かれる憧れだったキャラクターには、ちょっと低めのハスキーボイスを想像し、その声のイメージでストーリーを読み進めていたのに、映像化したらまさかの高音の薄っぺらい声!
もう、最初の一声聞いただけで、作品やそれを楽しんでいた自分の世界、そこに傾けていた気持ちすべてを台無しにされたような気持になりますよね。
こんなの酷い!って。
「映像研には手を出すな」の実写化は酷い?
さて、この作品「映像研には手を出すな」に登場するメインキャラクターはというと…。
クラスメイトに全く人気がなく、ひどい人見知りで、クラスにいたら決して表に出ることのない、暗くて地味で、決してかわいいとは言えない外見を持つ、いわゆる「陰キャ」と呼ばれるみどり。
そして、彼女の幼馴染で、美脚というたったひとつの美点を除いては、みどりと陰キャ友達であるさやか。
この二人が入学した高校が舞台となり物語は始まります。
アニメーターを志す二人は100を超える部活の中から「映像研」という、いかにも表にでることのなさそうな、日陰サイドの部活に迷わず入部します。
そこで偶然出会ったキラキラ輝く美しい同級生、読者モデルも務めながらも実は筋金入りのアニメオタクである、ツバメと出会うのです。
実写化に伴い、そんな3人に今回キャスティングされた国民的人気アイドグループというのは、「乃木坂46」でした。
メインのキャラクター二人が全くかわいくもなんともなくて、性格は根暗で、オタクワールド全開な面白さと、それに対する美しきヒロインツバメとの違いが、この作品が面白くなってくるポイントなのに…。
作品の世界観は無視?
乃木坂メンバー、齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波という、一般人ウケするキャストを当てがい、あちこちの番組に出させて番宣して、CMバンバン流しておけば、あとは勝手に売れる、そんな営利目的にこの作品を使うの?
原作リスペクトという言葉なんて無視の酷い仕上がり…。
そんな声が原作ファンからは流れたそうで。
「映像研には手を出すな」 実写化のよいところ、ある?
このタイプの作品は大抵、アニメから実写化、という順番がほとんどです。
そのため実写化する際、アニメの演技を真似しようとしてぎこちなくなる場合があります。
しかし、この作品ではアニメと実写化を同時進行で進めていたため、アニメの真似になっていない、どちらにもオリジナリティがある、という点が良い点といえるでしょう。
しかし、やはり実写化で成功するのは容易なことではないようです。
実写化でファンをがっかりさせてしまったのはどんなところ?
キャストが棒読み
この作品はストーリー、世界観を重視した作品であって、決してキャラクターの可愛さでグッズ販売で売上を出そう、という作品ではありません。そのため、キャストの演技力が見合わないと、作品の持ち味ともいえる、あの独特の世界観が死んでしまうのです。
さて、抜擢されたキャストの演技力がどうなのかというと…。
「本当に酷い。」「え、素人さんですか?」と言いたくなるような演技だという意見があちこちから。それは当然ですよね。アイドルは役者さんではありません。演技という点では素人さんなわけですから。
陰キャへのディスリスペクト
「映像研には手を出すな」というタイトルでも何となくわかる通り、主人公たちは映像研究会(部)の部員です。それは、スクールカースト的にいえば、下の方、影のキャラクター、つまり陰キャ、と呼ばれる集団なわけです。(一人リア充がいますが)
それを仕草一つとっても女子のお手本のような、カワイイ乃木坂が演じてしまうと、
「スクールカースト上位の方々の陰キャごっこ」になってしまうと、作品のコアなファンは嘆きます。
そのためストーリーに入り込めず、むしろ「バカにしてるのか?」と思わずイライラしてしまう。
CGが雑
原作である紙媒体の時とは違い、実写化となるとスポンサーがあって成り立つものです。予算があって、スポンサーの意に沿う内容となり、予算内に収めることが必須となります。世界的に名の知れた超有名作品!というものでもない限り、予算が莫大につく作品、というもの珍しく、たいていはスポンサー集めと資金繰りにまず苦労するものでしょう。となると、実写化にはよくあることですが、とにかくお金をかけたくない。1円でも安く作らなければ。
原作を知り、そのイラストを愛するファンが動く映像を目にしたとき、すっかり薄っぺらくなってしまった絵の裏側に、映像化の際のそんなビジネスの裏事情を感じてしまいます。
ここ最近のアニメの実写化で言うと、平野紫耀主演、橋本環奈ヒロインの「かぐや様は告らせたい」が有名です。今やドラマ、バラエティ、CMにと引っ張りだこの二人を起用したこの作品ですが、その時に感じたガッカリを、原作ファンたちはここで再度味わうこととなりました。
原作へのディスリスペクト
ここまで述べたように、惹き込まれる世界観等、原作の良い所を別な作品へと変えてしまった今回の実写化。実際に映画館に足を運んでみると、アニメや、原作を見ていそうな人達、原作ファン、アニメファンらしき人は数少なく、かわりに目立つのは乃木坂のキーホルダーやグッズを持ったファンたち。アニメの世界観が壊れてしまう場を目にしたくない、という思いがあるのでしょうか。
まとめ
原作はさておき、別な作品として、今回選ばれたキャストに、推している方がいて、その方の姿を見たい、と言う点では面白仕上がりなのかもしれません。
しかし原作を愛し、アニメを見て実写も見たいと思った、というファンには、ひどい…と思わず漏らしてしまう作品なのかもしれません。実写化って、本当に難しいですね。