
新型コロナウイルスで世界中が大混乱している中、新たな危機が迫っているのをご存じでしょうか?
それは「サバクトビバッタ」です。
このバッタによる被害は蝗害(こうがい)と呼ばれています。
蝗害とは大量のバッタが作物を食べつくしてしまい、人間が食糧難に陥ってしまうことです。
すでに東アフリカでは被害が深刻化してるんです。
食糧が無くなり、飢餓状態で苦しんでいる人も多いとか、、、
この「サバクトビバッタ」とは一体何なのでしょうか。
日本にどのような影響があるのでしょうか。
今回は、今世界中を大混乱させている「サバクトビバッタ」についてご紹介します。
サバクトビバッタとは?その生態は?
www.nikkei.com
サバクトビバッタはオスが5cm、メスが6cmと比較的大きなバッタです。
主に、アフリカ北部からインド西部に生息しているそうです。
このサバクトビバッタ、他のバッタにはない3つの特徴が挙げられます。
・大量に食べる
・大量に発生する
・長距離を移動する
なんか想像するだけで恐ろしく感じますよね💦
以下で詳しくご紹介します!
特徴1:大量に食べる
このバッタ、想像以上に作物を食い荒らすんです。。
具体的には1回の食事で自分の体重と同じ量を食べると言われています。
大人になると2gの大きさになるため、1回の食事で2g分食べていることになります。
これが1匹だとまだいいのですが、現在数百億の群れが発生しています。
さらに厄介なことに、サバクトビバッタは米、野菜、雑草と何でも食べます。
食べる部位も葉、茎、花とほとんどの部位を食べつくしてしまうのです。
その影響で、小さな群れでも1食で3万5千人分の食糧が食い尽くされているんです。
想像以上に悲惨な状況ですよね(^^;
せっかく作った農作物がすべて食べられてしまってはひとたまりもありません。
特徴2:大量に発生する
大量発生している点でも、多くの人を悩ませています。
元々、このバッタは「孤独相」といい、群れを好まず単独で暮らしていました。
しかし今回、生活に大きな被害を及ぼしたサバクトビバッタは「孤独相」から「群生相」に変異していたのです。
「群生相」は「孤独相」と違い、群れで行動することを好みます。
群れを成して作物を食べつくし、移動を繰り返すことで食い荒らしによる被害が深刻化しているのです。
ではなぜ変異してしまったのでしょうか?
それは気候の変化が大きな影響を与えています。
25mm以上の雨が2か月以上降り続くと、大雨と高温を好むサバクトビバッタにとって好条件となり、繁殖しやすくなります。
今回はこの気候変動が原因で大量にサバクトビバッタが発生してしまったのではないかと考えられています。
ちなみに、孤独相は緑っぽい色をしているのに比べ、群生相は茶色っぽい色をしているのが特徴です。
上の画像が「孤独相」、下の画像が「群生相」です。
wikipedia
bousaiseed.com
「群生相」に変異してしまった、サバクトビバッタの数は2000億~4000億に増えるとまで言われています。
何故なら、繁殖スピードが異常なくらい早いからです。
通常のバッタは年に1回しか繁殖しません。
しかし、サバクトビバッタは年に2~5回も繁殖するのです!
寿命が3か月と短いこともあり、繁殖サイクルのスピードが尋常ではありません。
2000億~4000億匹に増えてしまうのも時間の問題です。
この数の具体的なイメージとしては東京ドーム386個分に1120億匹。
密度で表すと4畳半に4万超のサバクトビバッタがいることになります。
想像するだけでゾッとしてしまいますよね(^^;
このスピードと量では、各国が対応に追い付いていないのも納得できます。。
特徴3:長距離を移動する
「群生相」に変異したサバクトビバッタは体の特徴も変化してしまいました。
具体的には以下が挙げられます。
・羽が長くなった
・後ろ足が短くなった
・筋肉が縮小した
これは長距離移動に適した条件を揃えています。
風に上手く乗れると、1日に100km近く移動することもあるそうです。
2019年の6月にアフリカでサバクトビバッタは発生しました。
そして、紅海とペルシャ湾を超え、イランに上陸。
その後も東へ移動を続け、中国付近まで到達しています。
あんなに小さな体で、中国まで飛んできてしまうのには開いた口が塞がりません。
アフリカだけでなくアジアにまで深刻な被害をもたらしているサバクトビバッタ。
被害の始まり、各国の現状はどうなっているのでしょうか。
始まりから現在の状況
https://www.lets-bible.com/ten_calamities/cal08.php
実はサバクトビバッタの被害は今に始まったことでなないのです。
今から6000年前に書かれた「旧約聖書」の中でも「10の災害」の1つとしてサバクトビバッタが描かれています。
上記の画像が、旧約聖書の中で描かれていたものです。
バッタが人を襲う姿がリアルに描かれていますよね(^^;
中国でも水災・旱災(干ばつによる災害)・蝗災と三大災害の1つとして恐れられていたという説もあります。
ずっと昔から、人々はサバクトビバッタに悩まされてきたのです。
では現在、どのような国が大きな被害を受けているのでしょうか?
南アフリカで最初にサバクトビバッタの大量発生が確認されたのは以下の国です。
・ケニア
・エチオピア
・ソマリア
www.mofa.go.jp
これらはアフリカの北東部に位置する国で、地形がサイの角のような形をしていることから「アフリカの角」とも呼ばれています。
その後被害は、ウガンダやスーダンにまで広がっています。
主に被害を受けている地域は発展途上国が多く、資金難のため対応に遅れが出ているそうです。
特にケニアでは「バッタの飛来が過去70年で最悪」といわれるくらい、食糧難の危機に悩まされています。
資金不足によって政府がサバクトビバッタの対策を中断してしまったという情報もあります。
また、ウガンダでは新型コロナウイルスの対策よりもサバクトビバッタの対策が優先されているくらい、事態は深刻化しているのです。
私たちの身の回りではまだ被害は出ていませんが、世界ではすでに食糧危機、飢餓状態まで追い詰められているところも沢山あります。
日本にはどのような影響があるのかとても心配ですよね?
続いては日本への影響・各国の取り組みに迫ります。
日本への影響・対策は?
globe.asahi.com
結論から言うと、サバクトビバッタが日本に上陸する確率は極めて低いです。
何故なら、サバクトビバッタは高度が海抜2000mまでしか上昇することができないからです。
サバクトビバッタは寒さにとても弱いのです。
高度2000m以上の気温に適応することができないので、3000m級のヒマラヤ山脈を越えることは不可能とされています。
ヒマラヤ山脈を越えることが出来なければ、中国に上陸できません。
そのため、日本に到達することはできないと考えられているのです。
中国を越えることができなかったサバクトビバッタは東アフリカに引き返し、さらなる影響を与えています。
これは「第二波」と呼ばれています。
第二波の影響でさらに被害は拡大。
現在東アフリカだけで2000万人が飢餓状態といわれています。
このサバクトビバッタの対策、実は非常に難航しているそうです。
中には「対策が遅すぎた」という意見も出ています。
大量発生したサバクトビバッタにはもはや農薬は効きません。
卵や幼虫のうちに退治しないといけませんが、年に何度も繁殖するサバクトビバッタに対応が追い付いていないのが現状です。
そもそも繁殖地域である、アラビア半島では紛争が起きていました。
そのため、卵が羽化する前に対策をとることができなかったのです。
発展途上国なならではの、資金調達難・紛争が被害の拡大につながってしまったのではないでしょうか。
そんな中でも、FAO(国際連合食糧農業機関)はサバクトビバッタの専門チームを発足し、支援金要請やバッタ対策に取り組んでいます。
対策としては、サバクトビバッタの情報提供を始めました。
人工衛星に搭載された降水情報を利用し、6週間先のバッタの分布状況を予想しています!
先回りして、卵や幼虫のうちに駆除することで被害を抑えることが出来るかもしれませんね。
支援金に関しては現在160億円の支援金要請が出ています。
しかし、現在新型コロナウイルスの影響もあり、海外へ支援要請もできない状況が続いています。
中々厳しい状況が続いていますね。。。
日本も様々な国の輸入に頼っており、間接的にサバクトビバッタの影響を受けるのも時間の問題かもしれません(^^;
まとめ
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今回は、今世界中で大混乱を招いている「サバクトビバッタ」についてご紹介しました。
日本に上陸する確率が低いとは言え、100%入ってこない保証はどこにもありません。
新型コロナウイルスと同様、サバクトビバッタの対策も早めにしておくべきかもしれません。
現在はFAOが中心となり、サバクトビバッタの被害を押さえようとしています。
新型コロナウイルスが落ち着いたら、より多くの国で協力し、サバクトビバッタの対策に取り組んでいきたいものです(^^;